東京・新宿駅西口。JRの複数路線が通る大ガードそばのファイブケイビルは、牛丼チェーン店や居酒屋の入る4階建てのテナントビル。1999年に、この飲食店街一帯で起きた火災のあとに建てられた。
もともと業務のデジタル化に興味があったと話すのはビルを所有する会社の役員の1人である久田見さん。自身も複数の飲食店を経営する中でPOSレジや勤怠管理などのクラウド利用、カメラを利用したマーケティングや店舗サポートなど積極的にデジタルツールを活用してきた。そのため、自然な流れでテナントビルの自動検針サービス導入も決めたという。
エコテナント導入以前は毎月人の手によって電気と水道のメーターを確認し、その検針数値をもとに各テナントへ請求書を発行していた。数字の読み間違いや計算ミスがないかといった不安が伴う作業だった。
「しかし、デジタル機器は嘘をつきません。それにテナントさんも請求額の根拠を気にする方が増えました。そうした点で気持ちは楽になりましたね」
ただ、自動化することで楽になるのは当たり前のことだとも話す。
「自動検針サービスそのものよりも、システムの移行がスムーズだったことがよかった。導入に伴う工事は、事前に綿密な打ち合わせをして、テナントさんが営業しながら電気を止めることなくできました。工事の段取りもしっかりしていた印象です。電気に関しては素人なので、テナントさんとの間に立って対応し、きちんと説明してくれたのも助かりました」
ファイブケイビルでは、その立地を生かし、屋上に設置したカメラから新宿の様子を動画サイトでリアルタイム配信している。もともとはマーケティングの一環で始めたことだったが、交通事故や事件が起きた際の情報源となり、地域の安全にも役立っている。
今後もエコテナントや動画配信といったデジタルツールを効果的に活用しながら、ビルと地域の安全にも配慮し、同地区の発展に貢献したい考えだ。